やぎやに 生配信 ギグ – 2022/3/20 SUN 7PM
意外と歌われてない、 ジャズの名曲のバースを紹介する配信
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一音も変えたくない名曲

「Easy to Love」は、洗練されたメロディーとウィットに富んだ歌詞が魅力の曲。
書籍『American Popular Song: The Great Innovators, 1900-1950』の著者Alec Wilderは、「もし一音も変えるべきでない曲があるとすれば、それは『Easy to Love』だ。和音も含めて」と絶賛しています。
難しそうに見えて、実はストレートな感情が詰まったこの曲。その人間味が、聴く人の心を惹きつけてやまないのです。

Easy to Loveの歌詞の日本語訳 by YANNIE

作詞 、作曲 Cole Porter

< Verse >
[TED]
I know too well that I’m just wasting precious time
私がただ大切な時間を無駄にしていることくらい、十分にわかっている
In thinking such a thing could be
That you could ever care for me
あなたが私を好きになるなんて、そんなことはありえないのに、つい考えてしまうのは(時間を無駄だから)
I’m sure you’ll hate to hear
That I adore you, dear
あなたは、私があなたを愛しているなんて聞きたくないだろう
But grant me just the same
でも、どうかそれでも許して
I’m not entirely to blame
この気持ちは私だけのせいじゃないから

 

<1st Chorus>
[TED]
A1
For you’d be so easy to love
あなたは、愛さずにはいられない人
So easy to idolize all others above
他の誰よりも夢中になれる、特別な存在だから

B1
朝、一緒に目覚めたらきっと幸せで
卵とベーコンを一緒に食べる朝食だって楽しいはず

A2
もし私たちが一緒になれたら、きっと恋のゲームでも最高のパートナーになれて
私たちは一緒にいると本当に気楽で楽しいのに
それが叶わないのは本当に残念だ

C
あなたが私との未来を思い描けないなんて、本当に残念でたまらない
だって、あなたは本当に、愛さずにはいられない人なのに。

 

<2nd Chorus>

A1 (instrumental break)

[NORA]
B1
あなたには、追いかけたくなるだけの価値がある。
あなたのためなら、ずっと家庭をあたたかく保っていたいって思える。

A2
ああ、私たちならきっと寄り添いながら、幸せに暮らしていける
二人きりの小さな家でも、(子どもが増えて)三人、四人、五人になっても

C
ねえ、私との未来を想像してみて
だって、その未来は本当に愛しやすいものになるはずだから

「Easy to Love」はもともと舞台のために作られた曲

この曲、もともとは1934年のブロードウェイミュージカル『Anything Goes』のために書かれたんです。でも、歌う予定だった俳優ウィリアム・ギャクストンの声域に合わず、泣く泣くカットされることに。なんともったいない話…!

映画『Born to Dance』でついに世に出る!

Easy to Loveはついに1936年の『Born to Dance』というミュージカル映画に使われるんです。物語は、海軍のテッドとブロードウェイを目指すノラの恋を中心に展開していって、曲は夜のセントラルパークで、テッドがノラに想いを伝える甘いシーンで登場します。その後ノラも同じメロディを歌い、2人の気持ちが重なっていく…という素敵な流れ。ミュージカルならではの、ちょっと夢みたいな瞬間です。^^

下にそのシーンのセリフをと解釈を書いたので興味のある人はぜひ↓↓を開いて読んでみてください。
もちろん最後にこのシーンを含めた映画のシーンの動画もつけておいたので是非〜

Easy to Loveを歌うシーンのセリフと解釈

曲が始まる直前、テッドとノラの間にこんな会話が交わされます:

Ted: Nora.(ノラ)

Nora:Yes.(なあに?)

Ted: Do you really want to go on the stage?(君、本当に舞台に立ちたいと思ってる?)

Nora: Well, I hope to.(ええ、できたらいいなって。)

Ted: Success and all that? Do you think that’ll change you?(成功して、有名になって…そういうのって、君を変えたりしないかな?)

Nora: Of course not. Why do you ask?(そんなわけないでしょ。なんでそんなこと聞くの?)

Ted: Oh, I don’t know. It just seems that that kind of success always does something to people. At least I’ve noticed it.(いや…なんとなくさ。ああいう成功って、よく人を変えてしまうように思えて。)

Nora: Just recently?(最近そう思ったの?)

Ted: Oh, Nora, the difference between you and girls that…(ノラ…君と他の女の子たちの違いっていうか…)

Nora: That amount to something?(つまり、“何かを成し遂げた女の子”ってこと?)

Ted: I wish you knew what you amounted to with me.(君が僕にとってどれだけ大きな存在か…わかってくれたらいいのに。)

Nora: Tell me.(教えて。)

このセリフの直後、テッドは「Easy to Love」のヴァースを静かに歌い始めます。セリフの流れから自然に音楽に移っていくこの瞬間は、ミュージカル映画ならではの魅力ですね。ちなみにここで出てくる “amount to” という表現、同じ形なのに全然違う意味で使われていて面白いんです:

amount to something:ノラの台詞では「社会的に成功する」「立派な人物になる」という意味。
amount to ~(with me):テッドの台詞では「〜にとってどれほどの存在か」という、もっと感情的で個人的な意味。

同じ表現でも、前後の文脈でまったく印象が変わるのが英語の面白さですね!セリフの流れから自然に音楽に移っていくこの瞬間は、ミュージカル映画ならではの魅力ですね。

歌詞ににじむ、テッドの不安とノラへのまっすぐな愛

歌詞は一見シンプルですが、胸にすっと入ってくる素直な感情が込められています。
テッドは「あなたが僕のことを想ってくれるなんて無理な話だってわかってる。でも…それでも、気持ちを伝えたい」と語りかけるように歌い始めます。彼はノラを心から愛しているけれど、自信がなくて、不安な気持ちを抱えたまま、それでも勇気を出して歌っているのです。

コーラスに入ると、「君とだったらきっとうまくやっていける」「一緒に朝ごはんを食べるだけで幸せ」など、日常の小さな幸せが次々に描かれていきます。

ノラのパートでは「あなたのためなら家の灯りをともして待ち続けたい」「二人でも、三人でも、五人でも、私たちならきっとうまく家族を作れる」と、家庭的で温かい未来が広がっていきます。

たくさんのアーティストに愛されて

「Easy to Love」はCole Porterの代表作の一つとして、Frank SinatraやElla Fitzgerald、Billie Holiday、Dianne Reevesなど、名だたるミュージシャンにカバーされてきました。

さらに、1947年の映画『This Time for Keeps』、1953年の映画『Easy to Love』、2011年の『Anything Goes』リバイバル公演などでも再登場。時代を超えて何度も愛されてきた曲なんです。

おわりに

タイトルの “Easy to Love” は直訳すれば「愛しやすい人」。でもこの曲では、「愛せずにはいられない人」というニュアンスで使われています。誰かを心から想う気持ちが溢れていて、とても真っすぐ。おしゃれでエレガントに見えるけど、実はとても人間味があって、温かい心情を描いている「Easy to Love」。

ジャズって、よく「難しそう」「高尚そう」と思われがちだけど、もともとは人間くさくて、気取らない音楽。だからこそ、こんな素直なラブソングが胸に響くのかもしれませんね。時代が変わっても、誰かの心をちょっとあたためてくれる…そんな歌を、これからも大事に歌い続けていきたいです。皆さも歌い続けていきましょう!

あなたが思う「愛さずにはいられない1曲」は何ですか?ぜひコメントで教えてください♪
今日も楽しいジャズ活を!

和訳の一覧ページはhttp://blog.theyannie.com/jazz-songs-lyrics-in-alphabetical-order/です。

ヤニは歌詞の日本語訳の専門家ではない上に日本語もうまくないです。なので、普段英語の曲の歌詞の翻訳を乗せてるほかのサイトのように詩のような表現などは書けないです。しかもジャズの歌詞は美しい表現はあるが意外と詩のようなお洒落で難しい表現は思ったより多くないです。元々は黒人の音楽で感情表現が豊かで素直な歌詞が多いと思います。

ヤニは歌詞だからわざわざ詩のようなお洒落な表現にする方が伝わりにくいと思いますのでわかりやすい翻訳をしていきたいと思います。そっちの方が演奏する際に気持ちが乗りやすいと思います。詩のようなお洒落な表現の翻訳が必要な方はほかのサイトを見て頂いたほうがいいと思います~^^