Santa Baby: 1950年代当時のアメリカの豊かな消費社会を反映
今日はクリスマスシーズンにぴったりの曲、「Santa Baby」を和訳してみました。この曲は、1953年にEartha Kittによって初めて録音された、クリスマスをテーマにした魅力的な楽曲です。この曲は、Joan JavitsとPhilip Springerによって書かれ、当時のアメリカの豊かな消費社会を反映しています。
Santa Babyの歌詞の日本語訳 by YANNIE
作詞 、作曲 Joan JavitsPhilip, Springer, Tony Springer
1st Chorus
A
Santa baby, just slip a Sable under the tree for me;
サンタベイビー、サーブルのコートをツリーの下に置いてちょうだい
とっても良い子にしてきたわ
サンタベイビー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
A
サンタベイビー、1954年式のライトブルーのコンバーチブルが欲しいの
あなたを待ってるわ
サンタベイビー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
B
楽しいことも我慢してきたし
キスしなかった男の人もたくさんいたし
来年も良い子でいられるかも
もし私のクリスマスリストをチェックしてくれるなら
A
サンタベイビー、ヨットが欲しいの、そんなに高望みじゃないわ
今年はずっと天使みたいにしてきたわ
サンタベイビー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
2nd Chorus
A
サンタハニー、本当に欲しいものがひとつだけ…それはプラチナの鉱山の権利書
サンタベイビー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
A
サンタキューティー、私のストッキングに複式マンションと小切手を詰めてちょうだい
「X」とサインしてね、
サンタキューティー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
B
ティファニーで買ったデコレーションで私のクリスマスツリーを飾ってくれない?
あなたを信じているのよ、
だから私を信じているか見せてちょうだい…
A
サンタベイビー、ちょっと言い忘れちゃったわ…指輪(ring)が欲しいの
電話のことじゃないからね、(ring:電話するという意味)
サンタベイビー、だから今夜煙突を急いで降りてきてね
セクシーで大胆なお願いリスト
「Santa Baby」は、ほかのクリスマスソングとはまったく違いますよね。普通のクリスマスソングといえば、家族の温かさやサンタクロースへの感謝、子供のような無邪気な願い事がテーマになりがちです。でも「Santa Baby」はそんなおとぎ話の世界とは一線を画しています。この曲の主人公は、サンタクロースに次々と贅沢なプレゼントをおねだりします。サーブルのコートから始まり、1954年式のコンバーチブル、ヨット、プラチナ鉱山の権利書など、そのお願いの内容はどんどんエスカレートしていきます。
お願いリストの各項目の詳しい解釈
サーブルのコート
歌詞: “Santa baby, just slip a Sable under the tree for me”
歌詞では「サンタベイビー、サーブルをツリーの下に置いてね」とお願いしていますが、サーブル(クロテン)の毛皮のコートはまさに贅沢の象徴。当時の1950年代では、毛皮のコートは富や社会的地位のシンボルで、特に女性にとってはステータスアイテムでした。エレガントで高級なライフスタイルを手に入れたい、そんな願望がここに込められています。
1954年式コンバーチブル
歌詞: “Santa baby, a ’54 convertible too, light blue”
「1954年式のライトブルーのコンバーチブルが欲しい」という歌詞も印象的ですよね。この曲が1953年にリリースされたことを考えると、「1954年式の車が欲しい」というのは新型の車を求めていることを示しており、当時の最先端を手に入れたいという強い願望が表れています。1950年代はアメリカの自動車文化が絶頂期で、新しい車は多くの人々の夢でした。特にオープンカーのようなスタイリッシュな車は自由と独立の象徴でもあります。当時、女性が車を所有すること自体が新しいライフスタイルを示しており、歌い手の自立した姿勢を感じさせます。
ヨット
歌詞: “Santa baby, I want a yacht and really that’s not a lot”
次に出てくるのは「ヨット」です。「サンタベイビー、ヨットが欲しいの、そんなに高望みしてないわ」と軽く言ってのけるあたり、彼女の贅沢に対するためらいのなさがある意味すごいと思います。^^; ヨットは非常に高価で、ゆったりとした贅沢なライフスタイルの象徴。自分自身にとても自信のある女性で、堂々とリクエストしている感じがしますね。
プラチナ鉱山の権利書
歌詞: “Santa honey, one little thing I really do need… The deed… to a platinum mine”
「プラチナ鉱山の権利書が欲しい」とも言っていますが、これは物理的な資産、特に莫大な富を象徴しています。プラチナは当時も非常に貴重な金属で、これを手に入れることで経済的な安定と豊かさを保証したい、そんな願望が込められているのでしょう。単なる贅沢を超えて、富の根源そのものを手に入れたいという大胆ですごいリクエストですね。😅
複合住宅と小切手
歌詞: “Santa cutie, and fill my stocking with the duplex and checks”
「複合住宅と小切手を靴下に詰めて」という部分もあります。複合住宅(デュプレックス)は収入を生む不動産として、経済的な安定や投資を示唆しています。デュプレックスはマンションだと以下のような感じでとても贅沢な家のことです。もちろん小切手も金銭的な価値を象徴しています。
ティファニーの装飾品
歌詞: “Come and trim my Christmas tree with some decorations bought at Tiffany”
そして「ティファニーの飾りでクリスマスツリーを飾って」とお願いする部分。ティファニーは高級ジュエリーの代名詞であり、クリスマスツリーにティファニーの飾りを使うなんて、なんて贅沢でロマンチックなんでしょう!当時の上流階級や富裕層にとって、ティファニーはまさに憧れのブランドでした。
指輪
歌詞: “Santa baby, forgot to mention one little thing… A ring… I don’t mean on the phone”
最後に「電話じゃなくて、指輪が欲しいの」とも言っています。ここでの「ring」という言葉は、英語では「指輪」と「電話のベル音」のどちらの意味にもなり得ますが、歌い手は「電話のことじゃない」と明確にしています。これは婚約指輪を示唆しているのでしょう。現在と違って、1950年代の女性にとって、結婚や安定したパートナーシップは幸福の重要な要素でした。この部分で、彼女は永続的な愛と関係を求めていることが感じられます。たくさんの贅沢なものを欲しいと言ってきた彼女ですが、結局最後には指輪をリクエストすることで、相手との永続的な愛を最も大切にしていることが示唆されているのかもしれません。
そして、「Santa baby, So hurry down the chimney tonight(サンタベイビー、今夜煙突を急いで降りてきて)」というセリフがありますが、これがまた興味深いんです。曲全体でサンタをまるで彼氏のように扱っていて、しかも「今夜煙突を降りてきて」というのは、どこかセクシーでちょっと挑発的な雰囲気を感じさせますよね。この部分が曲全体のムードをさらに盛り上げているんです。😉
サンタにお願いする物のリストはどれも高価で贅沢なものばかり。このようなリクエストが1953年当時に歌われたことで、「Santa Baby」は軽く挑発的でありながら、どこかウィットに富んだ、印象に残る曲として知られるようになりました。歌詞の中で彼女が具体的に求める品々から、当時の消費文化や豊かなライフスタイルへの憧れが垣間見えます。
1950年代のアメリカを映し出す曲
「Santa Baby」が発表された1950年代のアメリカは、第二次世界大戦後の経済成長の真っ只中にあり、消費文化が花開いていた時代でした。この曲はその時代の精神を強く反映しています。特に、1954年式のコンバーチブルというリクエストは、「最新のものを手に入れたい」という願望が表れています。当時のアメリカでは自動車が急速に普及し、新しい車は富と自由の象徴でした。オープンカーを持つということは、特に女性にとっては自由と独立を示すもので、1950年代にはまだ珍しかった女性の自立の象徴とも言えます。
最後には愛を求めて
「Santa Baby」の面白い点は、いろいろな贅沢なアイテムを次々と求めた後、最後に「指輪が欲しい」とサンタにお願いすることです。ここでの「ring」は、英語では「指輪」と「電話のベル音」の両方の意味を持ちますが、歌い手は「電話じゃなくて指輪」と明確にして、婚約指輪をほのめかしています。たくさんの贅沢な物を求めてきた彼女ですが、最後には永続的な愛と関係を求めていることが伝わってきます。これが、この曲をただの贅沢な要求リスト以上のものにしている要素なんです。
曲の特徴
「Santa Baby」の原曲であるアース・キットのバージョンは、Eartha Kittの艶のある声と、Henri Renéのオーケストラによる洗練された伴奏が、この曲の魅力を引き立てています。Kittの歌唱は、セクシーでありながらも、ユーモアを含んだ絶妙なバランスを保っています。
曲の影響と反響
「Santa Baby」は1953年のクリスマスシーズンで最も売れた曲となり、62万枚以上を売り上げる大ヒットとなりました。しかし、一部の人々からは歌詞があまりにも露骨な物質主義を表現しているとして批判を受けたらしいです。
カバーバージョン
「Santa Baby」は「エラ・フィッツジェラルド」や「サラ・ヴォーン」のような伝統的なジャズシンガーのカバーバージョンはないですが、Madonnaをはじめ、多くのアーティストがこの曲を取り上げています。Kylie Minogue、Taylor Swift、Ariana Grande、Gwen Stefaniなど、様々なポップ歌手がそれぞれのスタイルで「Santa Baby」を歌っています。
個人的に男性のバージョンですが、「Michael Bublé」のバージョンもおすすめします。下に音源つけてますので是非聞いてみてください。
おわりに
「Santa Baby」は、クリスマスソングの中でもユニークで特別な存在です。1950年代の消費文化や贅沢なライフスタイル、そして愛への憧れが詰まったこの曲は、ただのホリデーソング以上の深みを持っています。ちょっと挑発的でウィットに富んだ内容が、この曲を今なお魅力的なものにしているのでしょう。
皆さんもぜひ、クリスマスシーズンに「Santa Baby」を聴いて歌って、そのウィットと魅力に浸ってみてくださいね!そして、この曲を通して1950年代のアメリカの夢と贅沢に思いを馳せてみるのも、また楽しいかもしれません。メリークリスマス🎄✨
今日も楽しいジャズ活を〜
和訳の一覧ページはhttp://blog.theyannie.com/jazz-songs-lyrics-in-alphabetical-order/です。
ヤニは歌詞の日本語訳の専門家ではない上に日本語もうまくないです。なので、普段英語の曲の歌詞の翻訳を乗せてるほかのサイトのように詩のような表現などは書けないです。しかもジャズの歌詞は美しい表現はあるが意外と詩のようなお洒落で難しい表現は思ったより多くないです。元々は黒人の音楽で感情表現が豊かで素直な歌詞が多いと思います。
ヤニは歌詞だからわざわざ詩のようなお洒落な表現にする方が伝わりにくいと思いますのでわかりやすい翻訳をしていきたいと思います。そっちの方が演奏する際に気持ちが乗りやすいと思います。詩のようなお洒落な表現の翻訳が必要な方はほかのサイトを見て頂いたほうがいいと思います~^^