やぎやに 生配信 ギグ – 2022/3/20 SUN 7PM
やぎやに 生配信 ギグ – 2022/3/20 SUN 7PM

I Get a Kick Out of Youの歌詞の日本語訳 by YANNIE
作詞 作曲 Cole Porter

Verse
My story is much too sad to be told
私の物語はあまりにも悲しすぎて話せないくらい
But practically everything leaves me totally cold
しかし実は、私はすべてのことに対してほとんど興味がない
The only exception I know is the case
唯一の例外はこういう場合だ(以下の内容)
When I’m out on a quiet spree [1]
Fighting vainly the old ennui
付きまとわれている退屈とむなしく立ち向かいながら静かに呑んでいて
And I suddenly turn and see
Your fabulous face
ふと振り向いたら、あなたの素敵な顔が見えた時だ

Chorus
A1
私はシャンパンでは興奮しない
ただのアルコールにはまったく魅了されない
That I get a kick out of you [2]
なぜ私はあなたから興奮を得るのか、その理由を教えて

A2
Some get a kick from cocaine [3]
ある人はコカインに夢中になるかもしれない
コカインも一度吸ったとしても全然快楽なんか感じないに違いない
しかしあなたのことはとても好きでしょうがない

B
あなたを見るたびに興奮する
そこに立っているあなたを見るたびに
あなたが私を明らかに愛していないことはわかっているのに私はドキドキしてしまう

A3 [4]
飛行機に乗っていてもつまらない
空の上を男と飛ぶことは私にとって意味のない時間だ
しかしあなたにはときめく

[1]When I’m out on a quiet spree
この文章をどう訳すかちょっと悩みました。^^;
Spreeというのは短い時間のうちに何かをやりまくることを意味します。例えば「shopping spree」は爆買い、「drinking spree」は呑み騒ぎを意味しています。何かをしまくるという意味で、昔はspreeだけで「とても盛り上がっている宴」も意味したらしいです。それで今回はquiet spreeなので静かに呑んでいたと訳しました。

[2]I get a kick out of you
この曲のタイトルでもありますが、いろんな意味で訳すことができます。
「kick」という単語は「ける」という意味です。何かをけるというのは拒否する意味もあって、例えば「kick out」は「追い出す」という意味です。
しかしこの歌詞では「刺激」という意味で使われています。お酒にもよく使われますが、例えば「This drink has quite a kick」は「このお酒は結構強い」という意味です。お酒が強いと結構強いアルコールの刺激が感じられます。何かに蹴られたら物理的に衝撃が伴うように「kick」というのは「衝撃」→「刺激」ということになってこの曲では、感情的な「衝撃、刺激」から「興奮、ときめき、大好き」などの意味で訳してみました。

[3]Some get a kick from cocaine
歌詞に薬の名前が出るというのは現在の認識だとちょっと珍しいですよね。昔はあんまり危険性が知られてなかったんですが、1934に作られた映画のガイドラインにより禁止されて、1936年の映画バージョンでは「Some like the perfume from Spain」と歌詞を変えたようです。制限で歌詞を変えましたが、実は1930年代にとても流行ったスペインの香水は「Cocaina en flor」で「花咲くコカイン」のような意味らしいです。(ヤニもスペイン語がわからなくて色々調べた結果なのでもし違ってたらスペイン語がわかっている方はコメントで教えてください。)実際に香水にはコカインは入っていなかったようですが、20世紀前半まではコカインの危険性があんまり知られてなくて今みたいに悪いイメージじゃなかったようです。(昔はコーラにもコカインが入っていたようなので。。。笑)とにかく映画という媒体の制限をとてもスマートな感じで裏には元々の歌詞を残しつつ新しい歌詞にしたようです。さずがコール・ポーター様!と言えるしかないですね。^^
歌詞をかえても韻をちゃんと踏んでいてオシャレ感は残しつつ、自然に後に出てくる歌詞と繋がっていて、やはりCole Porter様は天才だなと再び思いました。^^
(下にミュージカルの歌手 Ethel Mermanが歌ったバージョンもつけておくので是非聞いてみてください。)

[4]I get no kick in a plane〜
「I get a kick out of you」は1934年にミュージカル「Anything Goes」で披露さるより元々は1931年の「Star Dust」というミュージカルに使われる予定だったが、結局「Star Dust」というミュージカルが公開されなかったようで、最初はA3のところの歌詞が以下のように違っていたようです。
————————
I get no kick in a plane
I shouldn’t care for those nights in the air
That the fair Mrs. Lindbergh goes through
But I get a kick out of you.
————————
結構違うんですよね。この意味をちゃんと理解するためには「Mrs. Lindbergh」という人のことを知らないといけないです。「Mrs. Lindbergh」は当時有名だったアメリカの飛行家、文筆家である「Anne Morrow Lindbergh(アン・モロー・リンドバーグ)」のことです。1930年に米国の女性として最初にグライダーのライセンスを取得し、1931年にはプロペラ機のライセンスも取得した人で小説家としてもとても有名な人です。旦那さんは1927年にニューヨーク・パリ間を飛び、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したとても有名な飛行家「Charles Lindbergh」で、お二人は長距離を一緒に飛行したりしたようです。
ここで昔の歌詞の内容を理解するためにはこの夫婦に起こった事件を知っておく必要があります。1932年に「Anne Morrow Lindbergh」と「Charles Lindbergh」の長男が誘拐され、殺された事件があり、お二人が有名人である分、「世紀の犯罪」と呼ばれるくらいの事件だったようです。その事件の後Cole Porterは現在の歌詞に変えたようです。事件前の昔の歌詞を訳すと
————————
飛行機に乗っていても興奮なんかしない
綺麗なリンドバーグ夫人が経験するような空での夜なんか私は興味ない
しかしあなただけにはときめく
————————
確かにああいう酷い事件を経験しているはずのお母さんが優雅にお空を飛んでいる歌詞の内容は、使いづらいですよね。

 

大好きなCole Porter様の曲、「I get a kick out of you」を訳してみました。「I get a kick out of you」は1934年のブロードウェイミュージカル「Anything Goes」に使われた曲です。1936年の「Anything Goes」の映画バージョンの挿入曲でもあります。本当にたくさんのミュージシャンにカバーされた曲で、Mel Torméのバージョンが1996年のグラミー賞を受賞しました。
2021年に発売されたTony BennettとLady Gagaのアルバム「Love for Sale」に入っている「I get a kick out of you」もとても素敵なので、ぜひ聞いていただきたいです。

「I get a kick out of you」は歌詞が途中で変わったりもしていて、歌手によって歌う歌詞が違ったりします。今回、訳したものは1934年の「Anything Goes」というミュージカルで使われていた時の歌詞です。多分この歌詞がいちばん多くのミュージシャンに演じられていると思います。
もちろん古い歌詞でも良いのでみなさんも「I get a kick out of you」を歌ってみたらいかがでしょうか?

今日も楽しいジャズ活を〜

和訳の一覧ページはhttp://blog.theyannie.com/jazz-songs-lyrics-in-alphabetical-order/です。

ヤニは歌詞の日本語訳の専門家ではない上に日本語もうまくないです。なので、普段英語の曲の歌詞の翻訳を乗せてるほかのサイトのように詩のような表現などは書けないです。しかもジャズの歌詞は美しい表現はあるが意外と詩のようなお洒落で難しい表現は思ったより多くないです。元々は黒人の音楽で感情表現が豊かで素直な歌詞が多いと思います。

ヤニは歌詞だからわざわざ詩のようなお洒落な表現にする方が伝わりにくいと思いますのでわかりやすい翻訳をしていきたいと思います。そっちの方が演奏する際に気持ちが乗りやすいと思います。詩のようなお洒落な表現の翻訳が必要な方はほかのサイトを見て頂いたほうがいいと思います~^^